第5回定期演奏会曲目解説

輝ける行進曲 コスクリッティ    Marcia Brillante i Coscritti
   ロサリオ・ガルガーノ Rosario Gargano
  ガルガーノは1879年スイスのベリンツォーナに生まれ、ティチーノ州で作曲、合唱団や合奏の指導、指揮者として活躍しました。マンドリン曲の他、ピアノ曲なども残しています。1908年にマンドリン音楽の専門誌イル・プレットロに掲載された本曲のコスクリッティとは初年兵のことです。


小英雄序曲   Piccoli Eroi Ouverture in La min
  ジュゼッペ・マネンテ Giuseppe Manente Op.167
 マネンテはイタリアのサンニオに生まれ、軍楽楽長時代に吹奏楽やマンドリン曲を数多く残しています。マルゲリータ皇太后に庇護を受け、皇子の結婚に当っては「倖せな結婚」王女の誕生では「子守唄」を贈っています。この「小英雄」は第一次大戦で祖国を守る若人の為に作曲したものです。


夏の庭 黄昏  Giardino d’Estato, Crepscoro
  プリモ・シルヴェストリ Primo Silvestri
 1872年に生まれ、作曲、指揮、指導者として活躍。1925年に50名のモデナ・マンドリン合奏団を創設しています。本曲はOND(Opera Nazionale Dopolavoro)の主催による1941年のシエナ作曲コンクールにおいて第3位を受賞しました。原曲は大編成でマンドリン族の楽器を多声部に使っています。


月ありき    C'era La Luna,Serenata
  ウンベルト・デ・マルティーノ  Umberto De Martino
 1908年イル・プレットロ主催の第一回作曲コンクールで銅賞を獲得したマンドリンオーケストラのためのセレナーデ曲。作者の友人カルロ・フェルラーロに贈られました。1909年、イタリア・ベルガモで開かれた演奏コンクールに課題曲となってから広く知られるようになりました。


ローラ序曲 Lola Piccola Sinfonia per Orchestra a Plettro
  イァサント・ラヴィトラーノHyacinthe Lavitorano
 作者は1875年イタリアのイスキア島に生まれ、アルジェリアのボーン(現在のアンナバ)で活躍した作曲家です。
  1902年に作曲された「ローラ」は美貌の妖婦ローラ・モンテス。彼女は1846年にバイエルン王国ルートヴィヒ1世の愛人となり、貴族として王宮に出入りするようになりましたが、政治にまで口を出したために民衆に襲撃されてバイエルンを逃れました。本曲はこの時の反乱を題材にしたものです。
 
ALWAYS続・三丁目の夕日より  佐藤直紀   編曲:知久幹夫
 希望を胸に/オープニングタイトル
 西岸良平による昭和33年(1958年)の東京の下町を舞台とした漫画を原作とした映画「Always 三丁目の夕日」のOpening Titleと堀北真希が演じる「ろくちゃん」こと星野六子が青森から集団就職で上京してくる時に使われた音楽「希望を胸に」です。


山田耕筰歌曲三題  山田耕筰   編曲:中川信良
 山田耕筰は日本語の抑揚を活かしたメロディーで多くの作品を残しています。また日本初の管弦楽団を創るなど日本において西洋音楽の普及に努めました。『からたちの花』『この道』は作詞家北原白秋とのゴールデンコンビによる代表作。三木露風の作詞による『赤とんぼ』は日本の代表的な童謡の一つです。「この道」は札幌市の北一条通り、「赤とんぼ」は三木の故郷である兵庫県揖保郡龍野町(現在のたつの市)で過ごした子供の頃の郷愁から作ったといわれています。


黄昏のワルツ  加古隆   編曲:中川信良
 NHK『にんげんドキュメント』で2000年度から2002年度までのテーマ曲として使用された曲で、ヴァイオリニストである奥村愛、葉加瀬太郎の他、二胡奏者の姜建華やトランペッターであるセルゲイ・ナカリャコフなどが演奏しています。曲は短調と長調の間を行き交いながら、最後に長調で終わる構成ですが、ここには人生における紆余曲折が表現されているそうです。作曲の加古隆は大阪出身の作曲家・ピアニストです。


Stand Alone  久石譲   編曲:森安浩司
 2009年11月から放送された司馬遼太郎原作のNHKドラマ「坂の上の雲」の主題歌。日本が近代国家へと歩み始めた明治時代、伊予国・松山にいた秋山真之、秋山好古、正岡子規などを中心に日清日露の戦いをはさみ、明治という時代の坂を上ってゆきます。作詞は小山薫堂が担当。3部構成で第1部:サラ・ブライトマン、第2部:森麻季、第3部:麻衣が“凛として立つ”姿を歌っています。


海の組曲 Suite Marinaresca アメデオ・アマデイAmedeo Amadei Op.290
  アマデイは、管弦楽曲、吹奏楽曲、室内楽曲など約500曲の作品を残したイタリアの作曲家です。ギリシャ神話をモチーフにした「海の組曲」の1楽章ナイアーデは美しい女性の姿をした水の精。生命、富、霊感等を司っています。第二楽章オンディーヌも形は人間に似ていますが魂がなく、人間の愛を得てようやく不滅の魂を得られます。第三楽章シレーネは半人半魚の怪物。シレーネの声を聞いた船は沈没すると言われています。第四楽章トリトーネも人魚のような姿で描かれていて、波を立てたり鎮めたりするために吹く法螺貝を持っています。